同志社中に通っていた人なら、石の種類を当てたり岩石標本を作っていたと思うので、ある程度の知識はあると思いますが、ここで少し復習しておきましょう。
岩石の種類は、主に堆積岩、火成岩、変成岩の3つに分けられます。
3つとも長い時間をかけて固まってできた岩石ですが、次のような違いがあります。
分類 | 説明 |
---|---|
堆積岩 | 地層が押し固められてできた岩石 |
火成岩 | マグマが押し固められてできた岩石 |
変成岩 | 岩石 (石灰岩など) が熱や圧力で変化した岩石 |
変成岩だけ他2つと少し性質が違うのが分かると思います。
石灰岩は堆積岩の1つですが、熱や圧力で圧縮されると大理石 (晶質石灰岩) になります。
それでは、3つの岩石について、さらに詳しく解説していきます。
堆積岩
堆積岩とは、風や水などの作用によって地層が押し固められてできた岩石のことです。主に砂浜や川底などで見られます。
また、堆積岩はその堆積したものの種類や大きさによって、大きく次の6種類に分けられます。
礫岩 (れき岩)
礫岩は、2㎜ 以上の大きな岩くずや礫が堆積してできた岩石です。河川や海岸など、運搬力が高い場所でよく見られます。
「礫 (れき)」とは、岩石や鉱物が風化や浸食によって砕かれたものを指しています。
建材や道路の舗装材、コンクリートの骨材として使われることもあります。
砂岩
砂岩は、0.06~2mm の砂粒が堆積してできた岩石です。こちらも礫岩と同じく、河川や海岸などの運搬力が高い場所でよく見られます。
砂粒は主に石英 (シリカ) 鉱物からできています。
建材や石材、ガラスの原料などに使われることもあります。
泥岩
泥岩は、0.004mm 以下の泥粒が堆積してできた岩石です。河川や湖沼など、あまり水が動かない静かな場所でよく見られます。
泥粒は、主に粘土鉱物からできています。
建材や土壌、化石の保存などに使われることもあります。
チャート
チャートは、泥岩が固化した岩石です。泥岩が固化する際、粘土鉱物が結晶化してかたい岩石になります。
海底で堆積した泥岩が固化したものが多いです。
色も豊富で、黒色や緑色、灰色などが有名です。また、しばしば化石が含まれていることもあります。
チャートは建材や石材、化石の保存などに利用されます。
石灰岩
石灰岩は、炭酸カルシウム (CaCO3) を主成分とする岩石です。海底や湖沼などの静かな場所でよく見られます。
炭酸カルシウムは、貝殻やサンゴなどの生物の遺骸が堆積してできたものです。
主に白色系で、白色や灰色、クリーム色などがあります。また、こちらも化石が含まれることがあります。
石灰岩は建材や石材、肥料、セメントの原料などに利用されます。
石炭
石炭は、植物の遺骸が堆積してできた岩石です。植物の遺骸が堆積した後、高温・高圧の環境で炭化 (こくか) して石炭になります。
地層中に層状に分布することが多いです。
燃料や化学工業の原料などに利用されています。
火成岩
火成岩はマグマが冷えて固まってできた岩石で、冷え方によって火山岩と深成岩の2つに分類できます。
それぞれの特徴と例を解説します。
火山岩
火山岩は、マグマが地表または地表付近で冷えて固まった岩石です。マグマの組成や冷却速度によって、さまざまな種類に分類できます。
代表的な火山岩を3つ紹介します。
流紋岩
流紋岩は、マグマが地表で急速に冷えて固まった岩石です。主に石英、長石、雲母などの鉱物から構成されています。
白色や灰色、赤色など、さまざまな色があり、軽くて硬く、耐久性があります。
安山岩
安山岩は、マグマが地表付近で比較的ゆっくりと冷えて固まった岩石です。主に石英、長石、斜長石などの鉱物から構成されています。
灰色や黒色、褐色など、さまざまな色があり、流紋岩よりも重く、硬く、耐久性があります。
玄武岩
玄武岩は、マグマが地表でゆっくりと冷えて固まった岩石です。主にかんらん石、輝石、斜長石などの鉱物から構成されています。
黒色や暗緑色などの色をしており、重くて硬く、耐久性があります。
深成岩
深成岩は、マグマが地下深くでゆっくりと冷えて固まった岩石です。マグマの組成によって、さまざまな種類に分けられます。
代表的な深成岩を3つ紹介します。
花崗岩 (かこう岩)
花崗岩は、マグマが地下深くでゆっくりと冷えて固まった岩石です。主に石英、長石、斜長石などの鉱物から構成されています。
白色や灰色、赤色など、さまざまな色をしており、耐久性がある上、美しい色合いをしているため、建材や彫刻などに広く利用されています。
閃緑岩 (せんりょく岩)
せん緑岩は、マグマが地下深くでゆっくりと冷えて固まった岩石です。主にかんらん石、輝石、斜長石などの鉱物から構成されています。
緑色や黒色、褐色など、さまざまな色をしており、耐久性があり、加工しやすいため、建材や道路の舗装材などに利用されています。
斑糲岩 (はんれい岩)
はんれい岩は、マグマが地下深くでゆっくりと冷えて固まった岩石です。主にかんらん石、輝石、斜長石などの鉱物から構成されています。
黒色や褐色、緑色など、さまざまな色をしており、耐久性があり、加工しやすいため、建材や道路の舗装材などに利用されています。
変成岩
火成岩はマグマが冷えて固まってできた岩石で、冷え方によって広域変成岩と接触変成岩の2つに分類できます。
それぞれの特徴と例を解説します。
広域変成岩
広域変成岩は、地下深部で広範囲にわたって起こった変成作用によってできた岩石です。広域変成岩は、高温・高圧に加えて、剪断応力 (せん断おうりょく) と呼ばれる、岩石を横方向に引っ張る力も加わります。剪断応力によって、岩石は褶曲 (しゅうきょく) や断層 (だんそう) などの変形を受けます。
代表的な広域変成岩を2つ紹介します。
片麻岩
片麻岩は、広域変成作用によってできた岩石です。主に斜長石、雲母、角閃石などの鉱物から構成されています。
灰色や緑色、黒色など、さまざまな色をしており、耐久性があり、加工しやすいため、建材や道路の舗装材などに利用されています。
結晶片岩
結晶片岩は、広域変成作用によってできた岩石です。主に雲母、角閃石、黒雲母などの鉱物から構成されています。
また、薄片状に剥がれやすいため、紙のように使われることがあります。耐久性があり、加工しやすいため、建材や道路の舗装材などに利用されています。
接触変成岩
接触変成岩は、マグマの熱によって、周囲の岩石が変成した岩石です。接触変成岩は、高温・高圧に加えて、加熱応力 (かねつおうりょく) と呼ばれる、岩石を垂直方向に押し込む力も加わります。加熱応力によって、岩石は緻密 (ちみつ) になり、硬くなります。
代表的な接触変成岩を2つ紹介します。
ホルンフェルス
ホルンフェルスは、接触変成作用によってできた岩石です。主に石英、長石、雲母などの鉱物から構成されています。
白色や灰色、赤色など、さまざまな色をしており、耐久性があり、加工しやすいため、建材や道路の舗装材などに利用されています。
大理石
大理石は、接触変成作用によってできた岩石です。主に炭酸カルシウム(CaCO3)から構成されています。
白色や灰色、クリーム色など、さまざまな色をしており、耐久性があり、加工しやすいため、建材や彫刻などに利用されています。